大阪都構想について考えてみました

興味の無かった大阪都構想だったんですが…

いわゆる保守を自称する人たちが「都構想が実現したら日本が滅ぶ!」なんて言ってるし、前回のエントリーでも書いたように橋下徹氏は嫌いでもあるのでちょっとだけみてみました。

真っ先に気になったのは二重行政の解消って効用です。

単純に考えれば、大阪“府”と大阪“市”という2つの領域の重なる自治体が1つの事業に同時に、資金や人材(まとめて資本とします)を投入しているので、府と市を統合して投入する自治体を1つにすれば、その分が浮くので、借金返済に充ててもいいし、他の事業に投入してもいいわけです。

これは、『パレート改善』じゃないですか!

…と単純に思ったわけですね。

パレート改善とは、イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートが提唱した概念です。
何か物事を行った結果、誰かの状態が改善され、かつそれによって誰の状態が悪くならない…これがパレート改善で、これを繰り返しもはや改善する余地が無くなった状態を『パレート効率的』といいます。
ただし、パレート効率的な状態は必ずしも公平や平等ではないということに注意しなければいけません。

それで、都構想はどうかと言えば…大阪市を無くして5つ行政区に改変します。
その際に市の予算2000億円が分割されて、旧大阪市に分配される予算が減る…という懸念が反対派の意見です。
でも、二重行政で無駄な資本投入をしてるのは、市だけではなく、府も同じですね。
行政サービスを受けるのは大阪市府民大阪府民でもある大阪市民です。
都構想によって、行政サービスの質や量が落ちないなら、少なくとも大阪市民に損失は無く、大阪府全体としては投入できる資本がそれだけ増えるじゃありませんか!。

まさにパレート改善です。

予算の金額が問題でしょうか?
住民税を払っているのは、税金を山分けするためではなく、行政サービスを受けるための対価ですよね?
行政サービスがこれまでのように受けられるならそれを提供するのは、府➡都だろうと、市➡区だろうと変わらないですし、二重行政の無駄が別の事業に投入されるならプラスになりますよね。

「二重で出されているから手厚くなって、二重行政は良いじゃないか!」

…という意見もあるんですが、ケーキが食べたい人がいるとして、ケーキを1つあげれば充分ですよね?
2つあげたら、ケーキが好きな人なら喜ぶでしょう。
でも4つとか5つ出されたら、ケーキ好きな人だって「そんなにいらないよ」…となると思います。

また、事業によってそれを行う自治体の最適な規模があります。
例えば、水道などはより広域を管轄する府➡都の方が良いですし、福祉社会保障など地域性の高いものは区が管轄したほうがよりニーズに応えやすい。
教育も小中学校は地域性が高いから区が、高校、大学などの高等教育は広域性、専門性が高く、資本投入が必要となるため財政規模が大きい府➡都が管轄したほうが合理的です。

巨大な自治体の統廃合ですから、それなりにコストはかかりますし、反対派の論拠にもなってますが、初期投資は何でも高くつきます。
しかし、それによってもたらされる物は大きいのではないでしょうか。

もう一つ付け加えると、一番の問題は大阪市の発言力が強すぎて、大阪府との調整がうまくいかない事のようです。
これは市長、知事、両議会の与党を維新が取っても、変えられなかった。

まぁ自治体の再編で日本が終わるって事は無いだろうねぇ…

将来、市町村の合併が進んでいくでしょうから、政令指定都市の再編の雛型になるのではないか…横浜市静岡市でも進められているようです…と、注目しています。